「――――このあたりにいるはずです。落ち合えるといいですね」
「楽しかったですわ。実は少し心細かったんです」
「僕も楽しかった! ありがとうナタリアリス」
またね! とフローリアンが手を振って、イオンの手を握る。
茂みに消えていく二つの影を見送ってから、ナタリアはあたりを見回した。
ガイはどこにいるのだろう。
『ここだよ、ナタリア』
頭上から声が降りてくる。
顔を上げたナタリアの目に、金髪の少年が映った。
「ガイ!!」
「やあ、ナタリア」
身軽にナタリアの前に降り立ったガイはいつもとはやはり違う格好をしていた。
白いカッターシャツに、白とピンクが斜めに縞模様になっているネクタイ。下はみなれた細身の
ズボン。そして。
「ガイは抵抗なく付けてますのね。初めて見るのに、なんだか違和感がありませんわ」
「抵抗はもちろんあったさ。でも話どおりの格好をしたほうが君が喜ぶんじゃないかと思って」
頬をかきながらガイは照れくさそうに言った。
普段ならば頭をがしがしする彼の頭にはネクタイと同じ柄の耳がついている。
「……さてと。じゃあ行こうか」
「行くって…どこにですの?」
きょとんとしたナタリアに、同じくあれ? という顔でガイは振り返った。
「アッシュに会いに行くんだろう? 違ったかい?」
「ガイはアッシュがどこに行ったのか知っているのですか?」
もちろん、とガイはうなずく。
「『扉』を開けるから、少し待っててくれ」
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